両河内(りょうごうち)は、静岡市清水区の興津川上流にある静かな山里です。
山あり、谷ありと、起伏に富んだ土地柄で、
その分、木立の間を渡る風や、清流から立ち上る朝夕の霧、山々の優しい陽射しが、
美人で繊細なお茶を育んでくれます。
そんな、知る人ぞ知る、銘茶の隠れ里両河内が、
「幻の茶産地」と呼ばれる由縁を、皆様にご紹介していきます。
幻の山里 ─しみず両河内─
「両河内」という地名は地図の上にはありません。
静岡県静岡市清水区の北部、興津川上流にある「西河内」「中河内」の両方をあわせ「両河内」と呼ばれています。昔々は両河内村というのがありましたが、時代の流れの中でその地名は無くなりました。今もそれら地域の川沿いには実にたくさんの集落が点在しています。どの集落にもお茶を育てて生計をたてる農家が暮らしており、日々お茶作りに精を出しています。地名は消えても、「両河内」が銘茶の呼称として語り継がれているのは、名も無い先人たちが、両河内の茶作りを脈々と守ってきてくれた証です。古文書によると、両河内には大和時代にすでに人が暮らしていたと記されています。戦国時代には、甲斐の国(現在の山梨県)より武田信玄の家臣たちが移り住んだと言われ、貝伏(かいぶし/甲斐武士)という地名が現在に残っています。今でも多くの末裔たちが、両河内の地でお茶を作っています
幻の茶 ─高嶺の香(たかねのはな)─
両河内のお茶農家が、コツコツと技術と努力を重ね作ってきたお茶。毎年静岡茶市場で初取引最高値の栄誉を40年以上いただいております。つややかでピンと伸びた美しい茶葉は、両河内の誇り。先人たちの栄誉と誇りを今なお伝承し続けているのです。新茶シーズンには、注目の的の茶産地両河内なんです。
両河内茶業会、総出で行う高嶺の香の摘み取り風景です。この日の手摘みを皮切りに、両河内のお茶シーズンが始まります。
針のようにピンと伸びた茶葉は、「縒りのきいた茶葉」と評され、良い素材と優れた技があってこその姿です。高嶺の香は量が極めて少ないため、「幻の茶」と言われます。